なにがそこまでいいのか?

まず、本がいい。

原作を知らないので、手塚治虫マニアが観たらどうなのかは知りませんが
手塚ワールドに染まらず「ハロプロがやるタカラヅカ」をうまく引き出すことができたと思う。

手塚ワールドに染まっちゃったら逆に厳しかったと思う。
だって、どんな実写版だって時間の制約でマンガやアニメを超えるのは至難の業なんだから。


そして、アドリブを極力排除し笑わせるなら最初から台本に書いてある。
しかも、脚本家がメンバーの特徴や持ちネタ(?)をしっかり掴んだ上で。
偶然性の盛り上がりをなくし、どの公演に入っても基本的に中身は同じ
違いはキャストの違いで楽しんでくださいというスタンスがよい。
(今までのミュージカルって後半になると「今日はこんなアドリブがあった」
「今日はこんなネタが出てきた」とか本編と違うところで盛り上がってたでしょ、
個人的にはあれは嫌いでした。それはライブであればいいことというのが持論です。)

「どこの台詞は間違ってる」とか「この台詞はどうたらこうたら」言う人もいますが、
そういうのは「木を見て森を見ず」であって、全体の世界観と個々のシーンの繋がり、
そして出演者に与えられた役割、それを考えればこの内容が今の段階でのベストの作りで
あることはわかると思います。これ以上の内容を求めたらそれはただの実現不能な自己満足です。


あと、ほぼ全員にソロでしっかり歌わせる場面がちゃんとあった。
これがあることで全員が成長できるし、その場面は絶対手を抜けない。
いい意味でも悪い意味でもプレッシャーが生まれてくる。

次に発音がいい

これはオペラではなくミュージカルです。
ですから、発声方法も歌曲というよりは舞台に近くなるわけです、
曲も歌うというよりは喋るもの…となると重要なのは

『いかにストーリーにそって、台詞として歌うことができるか?』

そこで一番大切なのは発音です。
石川さんが雑誌のインタビューに書かれてましたが、
かつぜつが悪いと台詞が飛んだのと同じでストーリーが繋がりません。
まだ改善の余地はあると思いますが、今までに比べたらもの凄い進歩です。

そして『藤本美貴』がいい

きれいに3段オチで決めてみましたw   ってわけではなく…

1幕後半からの登場にもかかわらず、あの存在感と歌い込んだ歌。
『美貴ちゃんできる子なのにね』とずっと思い続けてきた甲斐があったってもんですw


以前の声質のままだと軽めになってしまうので、そこは低音でもおかしくならないように
若干歌曲に近く、息を多めに使っている歌い方をしている印象があります。

こんなに素晴らしい楽曲を作った側はもちろん凄いんだけど、
その役に本気でのめり込み、努力して自分の曲として歌い切った美貴ちゃんはもっと凄い。



一番のお気に入りは「大臣の願い〜魔女」かなぁ…って誰かさんと同じだけどw